Wilco 『Yankee Hotel Foxtrot』 レビュー


日本人にこそ聞いてほしい

アメリカはシカゴ出身のバンドWilcoの4thアルバム。

1994年に結成されたWilcoはアメリカでは絶大な人気です。
2005年にはグラミー賞も獲得しており、名実ともにアメリカを代表する
モンスターバンドと言えますね。

少し前にはWilcoを特集したドキュメンタリー映画が公開されていました。
映画になるって相当ですよね!


だがしかし!日本では本当に誰も知らない。。。
日本人の感覚にマッチした情緒溢れる曲が多いのに、人気は出ません。。

ジャンルとしては『オルタナティブカントリー』ですかね。
王道カントリーではない、実験的ロック色の強いカントリーといった感じです。

わかりにくいですね
でもそれだけ彼らの曲は独特なのです。

二重人格?

このアルバムジャケット、おしゃれですよね!
彼らの出身地シカゴにあるMarina Towerのイラストです。

このアルバムジャケットのような落ち着いた曲がこの作品は多いです。
カントリーフォークをベースとした心地の良いアルバムです。

しかし、他のバンドとWilcoの決定的違いが2つあります!


1涙腺を揺さぶる美メロ
2狂気じみたノイズ


まずはなんといっても、メロディーが良すぎる!
メロディー作りというのは才能によるところがあるので
他のバンドではWilcoの美メロにどうやっても太刀打ちできません。
激しく動き回るメロディー展開はありませんが、
淡々とした展開の中にとっておきの美メロが潜んでいます。

そしてアルバムを通して散りばめられているノイズ!
ただの良い曲では終わらない、深い曲に仕上がって
いるのはこのノイズのおかげだと思います。

狂気じみたノイズが入っているおかげで、淡々とた美メロの良さが
何倍にも膨れ上がっています。

トンネルから出たら太陽がより眩しく感じるのと同じ仕組みですね!

温かいメロとの二重人格。

この実験的な作風はWilcoのお家芸です!

グラミー賞を取った2005年のアルバム『A Ghost is Born』
でさえも15分間ノイズだらけの曲があったりと、攻めの姿勢が
全作品に見られるところが大人気の理由じゃないでしょうか。

Poor Places

これまで書いてきたWilcoらしさを十分に堪能できる曲。

それが10曲目のPoor Placesです!



序盤はうっすらノイズと電話のような電子音をバックに
曲が展開していきます。
そのあとは綺麗なピアノと、かなり歪みの強いギターが入ってきます。
この強い歪みギターには非常にWilcoらしさが出ています。

そしてサビ。
サビのメロディーは本当に美しすぎて、涙が出てきます。
しかも今までのノイズやギターが消え、
アコギとピアノのシンプルな演奏になってます。

この演奏でこの美メロは反則です。
緊張と緩和を完全に使いこなしてます。

最後は轟音のノイズギターに全てが飲み込まれて終わります。
最後だけ聞いたらもはや音楽ではないですね。
ジェット機の騒音みたいです。
Yankee Hotel Foxtrotという歌詞?だけは聞こえます。

日本のメインストリームのバンドではできない音楽体験なので
ぜひみなさんもPoor Placesで泣いてください。













Wilco 『Yankee Hotel Foxtrot』 レビュー Wilco 『Yankee Hotel Foxtrot』 レビュー Reviewed by ピングー on 2月 24, 2018 Rating: 5
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